2011年3月23日水曜日

世銀総裁、元切り上げは中国の構造転換促す

 ゼーリック世銀総裁は29日、ウォール?ストリート?ジャーナル紙とのインタビューで、人民元を切り上げれば中国の購買力を強化し、企業に対し輸出志向型から内需志向型への産業構造転換が必要であるとのシグナルを送るこことになるとの見解を表明した。同総裁の発言は、中国に切り上げを要求したものではないが、中国には切り上げの余地があるとの見方には同調した。

 ゼーリック総裁は、中国が消費重視の社会に向かうには貯蓄率を低下させなければならないと指摘、元を切り上げれば一般国民の購買力は引き上げられると述べた。また、「元高に急転換しても産業構造の自動的な転換にはつながらないと言われるが、産業構造をどう変えなければならないかを示すことにはなる」と述べた。

 米欧では、中国に対し元切り上げを求める声が上がっており、米政府が4月15日に発表する半年次為替報告で中国が為替操作国として認定されるかどうかが注目されている。世銀によれば、元は2005年7月?10年3月で12.3%上昇し、現在はほぼ2000年当時の水準となっている。世銀は、元の上昇は中国のインフレ圧力を緩和し、不動産バブルを冷やすとの見方を示している。

 ゼーリック総裁はまた、「中国の貯蓄率が異常に高いのは、企業、とりわけ国有企業の留保利益のせいだ」と述べた。同総裁によれば、中国の国有銀行は国有企業に対し超低金利で融資し、一方預金金利を極めて低い水準に設定、そのため国有企業は巨額の利益を得ており、その結果貯蓄率が異常な高水準になっているという。 

 ゼーリック氏は、中国やインドが成長を続け、米欧が景気不振に見舞われたことについて、「世界経済は成長の多極化に向かっているのかもしれない」と指摘、経済危機が収まれば金融危機対策や成長促進、国家債務などの問題について国際的な合意形成の困難さが増すだろうとも述べた。

記者: Bob Davis

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引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト

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